父親の介護編⑱認知症の父親の奇行⑦
迷子その２父親の唯一の楽しみの
散歩にてわかった行動パターン。
母親が介護施設で亡くなり認知症が
進行していく父親。
一人での買い物や通院も出来なく
なり、唯一の一人での外出機会の
朝の散歩が、たった一つの楽しみ
でしたが、散歩さえもまともに
出来ないようになってしまいました
。
父親の一人での外出で、警察に保護
されたり、ご近所さんの見守りで
助けていただいたり、宅配屋さんに
声掛けをしてもらったり、周囲の方
に協力をしていただきながら父親の
介護をしてきましたが、私達兄弟は
父親の一人暮らしの通いの在宅介護
に、限界を感じていました。
その後の要介護認定から、デイケア
の介護施設への通所が決まり、自宅
のガスは止め風呂は介護施設で入浴
し夕食は宅配弁当、買い物や病院の
処方箋は私達兄弟で全て分担して、
何とか人様にご迷惑を掛けずに
やってきましたが、父親を一日中
家に閉じ込めておく事は出来ず、
父親の唯一の楽しみとなった朝の
散歩だけは、お向かいのご近所
さんに見守りをお願いして続けて
いました。お向かいさんは夫婦で
既に隠居生活で『お父さんの散歩
は決まって朝7時だから、どうせ
私達も早起きだし、裏の公園側も
北側の窓から見えるし、毎朝見守
り出来るよ。』と暖かいお言葉を
いただき、、甘えさせてもらう事
になりました。
父親の散歩のコースは、玄関から
公道に出て、反時計回りで一区画
を一周してくる約10分間約400m
程の工程です。（家から道路に出
て右へ、後は突き当りを左、一本
目の路地を左、右手に小さな公園
を見ながら一つ目の路地を左へ、
突き当りを左へ行けば、右手に
父親の自宅というコースです）
お向かいのご夫婦は、父親が朝7
時に自宅から出るところを確認
した後、北側の部屋に移動して
父親が公園の前を通るのを確認
した後、再び南側の部屋に戻り
父親の帰宅を見届けてくれました。
お向かいさんは日記帳まで用意
してくれて、毎日父親の様子を
書き留めておいてくれました。
約1か月後、お向かいのご夫婦に
菓子折りを持ってご挨拶に行くと
お向かいの老夫婦は日記帳を見せ
ながら父親の様子を教えてくれ
ました。
『お父さんはほとんどの日は10分
位でコース通り散歩から戻って
来たんだけど、3回だけね、家を
出た時、右側からご近所の○○
さん家の爺さんが犬の散歩で、
通りかかった時に鉢合わせしてね
、そしたらいつもと反対の左に
歩き始めてさ、暫く歩いたら
迷っちゃったみたいで立ち止ま
ってウロウロしてるんだよ。
その時は私が家から出て、お父
さんに、散歩はこっちからだよ
って教えてあげてさ、そしたら
コース思い出したみたいで、
ちゃんと散歩して戻って来たん
だけど、玄関から道路に出た時
に右からくる爺さん見ると、
反射的に左へ歩き出して迷子に
なっちゃうんだと思うんだよね
。三回ともそうだったからさ』
と父親の行動パターンを教えて
くれました。
この事を聞いた私と妹は顔を
見合わせて、『スーパーでも
自転車でも父親が行きたい方向
にたまたま人がいると、それを
避けて反対方向に行ってしまい
迷子になるのかもね。』と、
意見が一致しました。
これ以降、朝の散歩も時間を
ずらして、私達が介護に訪れた
午前10時頃から、私達の付き
添いで出かけることにしました
。母親が亡くなり一人の時間が
多く、コミュニケーションが
苦手で人との会話を避ける父親
は、その後更に認知症が進行し
要介護度が上がりました。
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