母親が要介護となり暫くは通院や
当時は原因がわからなかった病名
探しに数々の病院を母親と一緒に
巡り、その道中で季節感を感じる
事も出来ましたが、
後に母親が寝たきりとなって
外出する機会も殆どなくなり
木々の葉の色で季節を感じたり、
肌感覚で春夏秋冬を感じる機会が
失われた。
自宅においても自力では起き上がる
事も出来ず、窓越しに外を眺める
事もほぼなくなって母親にとって
正月や春の訪れ、猛暑の日々など
季節の移ろいを感じる感じる事は
皆無となった。
ただ私達家族が母親に向かって
『あけましておめでとう』とか
言葉を発した事で
『正月なんだ。おめでとう』と
言うしかなかった母親でした。
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自分自身で見聞きし
自分自身で目的も場所まで歩く
そんな当たり前の日常を失った
母親にとって生き甲斐という
文字は無くなってしまった。
日々衰弱していく母親をただ
見守る事しか出来なかった私は
代り映えのしない母親の介護を
作り笑いをしながらこなすだけ
本当に私は無力だなと思いながら
時だけが過ぎていった。
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